ワークバランス講演会

ワークライフバランス検討委員会 講演会開催報告
第8回講演会 自治医科大学附属病院 病院長 佐田尚宏先生をお迎えして

 第57回日本小児外科学会定期学術集会におけるアフタヌーンセッションにて、自治医科大学附属病院病院長佐田尚宏先生をお迎えして「看護師特定⾏為研修と外科医の勤務環境改善・負担軽減の取り組み」というご演題でご講演頂きました。以下に委員会スタッフがまとめましたご講演内容を紹介させていただきます。

 ご講演では初めに、消化器一般移植外科学部門の教授として外科医の視点から勤務実態の問題点と乗り越えるべき課題を取り上げ、病院長として包括的にマネージメントし実践してきた自治医科大学での働き方改革をご紹介下さいました。
 周知の事実として外科医の勤務時間は過労死リスクを上回る状況であり、かつ改善することは困難とされています。しかし、先生は当直体制や大学病院特有の業務形態が勤務時間延長の原因と指摘し、外科部門から勤務時間短縮を目指した業務の削減や効率化の動きを開始なさいました。家庭と仕事の両立や、医師にとって重要な自己研鑽の時間を確保するために、若手や管理職など特定のスタッフが長時間勤務する従来の勤務形態を改善すべきであり、この改革には大学病院を上げて取り組むべきとして、地域での1次救急医療の充実や、病院内での当直体制の改変、各診療科への協力要請、チーム医療の充実など次々と制度の改革を進められました。結果として、外科医の勤務時間は従来より3時間ほど短縮出来たそうです。しかし依然として長時間の超過勤務実績が問題視されており、さらに医師の負担軽減をすすめるべくタスク・シフティングを積極的に導入する方針を打ち出されました。
 タスク・シフティング推進の動きとしては、看護師特定行為研修制度が2015年より開始し、令和元年9月までに全国で1954名の看護師が研修を修了しています。行為の内容としては、呼吸・循環管理やカテーテル管理、血液培養、血ガス分析など、多岐に渡る内容となっており、従来医師が行ってきた行為を看護師にシフトすることが可能となりました。また更なる普及を目的として、在宅・慢性期領域(4行為)、外科術後病棟管理領域(15行為)、術中麻酔管理領域(8行為)、救急領域(9行為)、外科基本領域(7行為)、集中治療領域(10行為)のように、行為のパッケージ化が整備されました。自治医科大学では2015年に特定行為研修センターを設立し、更に取得支援として、研修費の助成金や、取得後の手当を創設することで、看護師がより活躍できる環境を整備しています(2020年4月までの修了者205名)。その結果、特定行為研修終了看護師が配置されたて病棟においては、医師による平均指示回数(平均692回/週→200回/週)19時以降の医師の平均指示回数(77回/月→21回/月)が有意に減少し、かつ医師の指示を待たずに対応可能となったことで、看護師の月平均残業時間(401時間/月→233時間/月)も有意に減少しました。さらに、医師の年間平均勤務時間も有意に短縮(2390時間→1944時間)しました。
 佐田先生は最後に、「普通の人が、普通に仕事をして、最高の成績を出す病院」が理想であるとおまとめになり、その上で働き方と考え方の多様性(Diversity)が重要であると示されました。
 今回は初めてのハイブリット開催という状況のなか、Web視聴:71名、会場参加:12名の会員の皆さまがご参加くださいました。普段のような質疑応答が難しい中でもチャット機能も駆使して皆様活発なご討議をいただくことができました。委員一同、心より感謝申し上げます。また、今回はご参加いただけませんでした皆様にも、ご講演内容をごらんいただき、「普通の人が、普通に仕事をして、最高の成績を出す小児外科」を実現するべくご協力いただけますよう今後ともよろしくお願いいたします。

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