小児外科Q&A
コンテンツ
  1. 小児外科専門医とは?
  2. 専門医になるには?
  3. なぜ小児外科か?
  4. 小児外科の魅力とは?
  5. 対象となる疾患は?
  6. 少子化で小児外科の症例は減っているのではないか?
  7. 卒後臨床研修期間が2年間義務化されますが,小児外科専門医の認定に最低何年を要するのですか?

小児外科専門医とは?

小児外科専門医とは「子どもを安心して預けることができる外科医」です.

ですから,自己の力量だけでなく,設備や人員をも含めた総合的な立場から最も正しい治療法を選択できる医師を表す言葉です.このためには,単に手術に必要な解剖学的な知識の蓄積だけでなく,小児の成長を考え合わせた特性や小児の外科疾患の特徴についての十分な知識と経験が必要になります.


 

専門医になるには?

専門医になるには学会が認定した施設で研修する必要があります.

申請条件として,

1. 日本の医師免許証をもっていること
2. 本学会が行う小児外科専門医筆記試験に合格していること
3. 通算7年以上の外科医としての経験を有すること(うち5年以上は外科臨床研修とする)
4. 申請者が筆頭著者である小児外科に関する研究論文が1編以上あること
5. 申請者が筆頭著者である小児外科に関する症例報告が1編以上あること
6. その他の小児外科に関する論文が3編以上あること(これらは申請者が筆頭著者である必要はありません)
7. 学会,研究会で,小児外科に関する発表を演者として3回以上行っていること(学会,研究会の適否は委員会が審査します)
8. 日本外科学会認定医あるいは外科専門医であること(認定証のコピーを提出)
9. 申請の時点で,3年以上連続して日本小児外科学会の会員であること
10. 研修月数が36ヶ月以上に達していること

以上の条件を満たす必要があります.
詳細は小児外科専門医制度規則をご覧ください.


 

なぜ小児外科か?

こどもはおとなに比べてからだが小さく,とくに新生児・未熟児では非常に繊細な手術のテクニックが必要です.おとなの手術と同じ方法ではこどもの手術は行えません.

しかしもっと大事なことは,こどものからだはおとなのように完成したものではなく,肺・腎臓・肝臓など身体のあらゆる臓器が発育の途中にあり機能が未熟です.また,身体の機能の調節機構が未熟で,しかも,発育に伴ってこれらの機能はどんどん変化してゆきます.

また身体だけでなく,精神的・心理的にも発育の途上にあり,この点も十分に考慮しなければなりません.さらに,学童期の子供たちは病院を教育の場として利用しながら成長していることを忘れてはいけません.ですから,入院・手術という,こどもにとっては大きな試練を無事に乗り切るための精神・心理的な援助や 教育の援助も考えられる医師でなくてはいけません.


 

小児外科の魅力とは?

吃驚するような頑張る君や頑張るさんに出会えたり,絶望の淵からよみがえった天使のようなほほ笑みに出会えたりすることです.そして,細かく分かれた医学の専門分野の中で,小児外科だけが頸(胸)からお尻まで診療(手術)できる唯一の専門科です.

 


 

対象となる疾患は?

小児外科は「小児一般外科」です.代表的な疾患を列記します.

1. 頭頸部 頸部腫瘤,頸部瘻孔,リンパ管腫など
2. 胸部 先天性気管狭窄症,肺嚢胞性疾患,肺分画症,縦隔腫瘍,漏斗胸,肺葉性肺気腫,など
3. 腹壁 鼠径ヘルニア,臍ヘルニア,臍帯ヘルニア,腹壁破裂,総排泄腔外反症,尿膜管遺残,など
4. 消化管 先天性食道閉鎖症,先天性食道狭窄症,食道アカラジア,肥厚性幽門狭窄症,十二指腸閉鎖症,小腸閉鎖症,腸回転異常症,虫垂炎,腸重積症,壊死性腸炎,臍腸管遺残,結腸閉鎖症,消化管ポリープ,炎症性腸疾患,鎖肛,ヒルシュスプルング病,ヒルシュスプルング病類縁疾患,特発性便秘症,直腸脱,痔瘻,肛門周囲膿瘍,痔裂,胎便性腹膜炎,原発性腹膜炎,細菌性腹膜炎,など
5. 肝胆膵 胆道閉鎖症,先天性胆道拡張症,膵・胆管合流異常,門脈圧亢進症,肝腫瘍,膵腫瘍,など
6. 泌尿生殖器 停留精巣,水腎症,膀胱尿管逆流症,尿管狭窄症,異所性尿管,など
7. 腫瘍 神経芽腫,腎芽腫(ウィルムス腫瘍),肝芽腫,奇形腫,横紋筋肉腫,など
8. その他 鏡視下手術,生体部分肝移植,など

一般的に,小児外科は狭い領域の疾患を対象にしているように考えられがちですが,以上のように,対象とする疾患の領域は広い範囲に亙っています.

 


 

少子化で小児外科の症例は減っているのではないか?

最初に日本小児外科学会で調査を行った1964年には662例だった新生児の手術数は1998年度には3414例と大幅に増加しています.出生数は 1973年以後,毎年減少傾向にあることを考えますと出生数が減少しているのにもかかわらず小児外科学会に登録される新生児の外科治療が増えており,少子化で必ずしも減少はしていません.このことは,小児外科の専門機関での診断・治療を希望する人が増えていることも一部に反映した結果と言えます.

 


 

卒後臨床研修期間が2年間義務化されますが,小児外科専門医の認定に最低何年を要するのですか?

小児外科専門医の認定に必要な日本外科学会の専門医になる条件として,卒後臨床研修期間の2年間を外科研修期間に含めることができます.ただし,それには条件があり,外科専門医の修練開始登録を申請した後からの期間のみが研修期間として算定されます(詳細は日本外科学会雑誌参照).従って,将来,小児外科専門医を希望される方(外科専門医の資格取得は必須条件)は,早めに登録 (オンライン登録)しないと,外科研修期間と認められる期間が短くなってしまいます.ですから,小児外科の場合は修練開始登録をおこなえば(外科専門医に関しては,卒後初期臨床研修期間満了後6ヶ月以内に登録した場合に限り,卒後初期臨床研修の開始時まで遡って算定することができます),これまでと同じ卒後年数の条件(2年間の卒後臨床研修期間を含めて7年)で専門医になれます.

外部リンク

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