小児外科で治療する病気

腸閉塞

腸閉塞は、腸管の通過がなんらかの原因により障害された状態で、小児でも多くの原因で発生します。生後すぐに腸閉塞を来す疾患は、表1に示すような疾患があります。機械的閉塞は、腸管の内腔がつながっていなかったり狭くなっていたりすることにより通過障害が発生する場合で、機能的閉塞とは腸管の管腔はしっかりできているのに腸がうまく動かないために閉塞が発生する病気です。ヒルシュスプルング病がその典型ですが、多くの類似疾患があります。全身性の病気でも腸管運動が障害され閉塞症状が出現することがあります。先天性の腸閉塞は、出生前に診断される場合が増えています。腸閉塞の症状としては、お腹が膨れる、繰り返す嘔吐、腹痛が主なものですが、下血を伴うこともあります。また、これら病気では、高度な脱水症状となるため、点滴を行い、適切な治療が必要となります。

生直後以降に発生する腸閉塞には表2のような疾患があります。年齢により発生する疾患の頻度が異なりますが、壊死性腸炎は低出生体重児に特徴的で、ミルクを開始してしばらくして発生します。肥厚性幽門狭窄症は生後1か月前後に発生します。腸重積は、生後半年から2歳頃までの間で季節の変わり目に多く発生します。腸回転異常・中腸軸捻転は、新生児期以降に発生するものが2割で、年長児の反復性嘔吐の原因となります。メッケル憩室は、胎生期の腸管の遺残で、腸閉塞の他に消化管出血の原因となります。腸管重複症は、腸重積の原因となることがあります。その他に、以前にお腹の中の手術をしているときは、5%ぐらいの頻度で術後に腸閉塞が発生します。巨大水腎症や腹部悪性腫瘍も、巨大な場合は腸管を圧迫し腸閉塞を来します。

また、小児の腸閉塞の主症状は嘔吐ですが、嘔吐を来す腸閉塞以外の多くの疾患があり、区別が必要です。胃食道逆流症は、胃内のミルクが胃と食道の逆流防止機構が不完全で食道に上がってくる病気で、乳児期には非常に頻度が高く、ミルクアレルギーも小児嘔吐のかくれた原因として注意が必要です。

腸閉塞において大切なことは、腸閉塞を起こしている腸管が血行障害を起こしているか否かによって治療方針が異なるということです。腸回転異常・中腸軸捻転では、腸管を助けるために早期診断、早期治療が必要です。血行障害を伴う場合は、症状は重篤で、非常につよい腹痛を来します。下血も血行障害を考えさせる所見として重要です。血行障害を起こしていることが強く疑われれば、緊急手術が必要になります。

血行障害を伴わない腸閉塞では、脱水補正目的の輸液、腸管蠕動を止めるお薬の投与や、鼻から小腸までチューブを挿入留置して小腸内の減圧をおこなう方法でまず治療します。5日から1週間経過しても腸閉塞の改善が認められない場合には手術による治療を考慮しなければなりません。

表1:生直後に腸閉塞を来す疾患

機械的閉塞
先天性腸閉鎖・狭窄 先天性食道閉鎖
先天性十二指腸閉鎖・狭窄
先天性小腸閉鎖・狭窄
直腸・肛門形成異常 直腸肛門奇形
機能的閉塞
大腸運動機能異常 ヒルシュスプルング病
ヒルシュスプルング病類縁疾患
(腸管の神経節細胞は存在するが、腸管の動きがヒルシュスプルング病のように悪い疾患群)
その他
全身性疾患 周産期胎児循環異常
低出生体重児
敗血症
甲状腺機能低下症

表2.生直後以降に発生する腸閉塞

消化器疾患 壊死性腸炎
肥厚性幽門狭窄症
腸重積
腸回転異常・中腸軸捻転
メッケル憩室
腸管重複症
腹部手術既往 術後イレウス
泌尿器疾患 巨大水腎症
腹部悪性腫瘍 神経芽腫、腎芽腫
嘔吐を来す疾患 胃食道逆流症:GER(Gastro-Esophageal Reflux)
食道裂孔ヘルニア
胃軸捻転症Upside down stomach
ミルクアレルギー

外部リンク