小児外科で治療する病気

停留精巣

概要

精巣(睾丸)は、赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいる間に腎臓の近くから少しずつ下へ移動し決まった通り道(鼠径管)を通って、最終的に陰嚢(いんのう)の中へ下りてきます。
この過程の途中で精巣の下降が止まり、陰嚢の中まで下りてこない状態を停留精巣といいます。
陰嚢の中は体の中より少し温度が低く保たれており、精巣が正常に働くために重要な環境です。陰嚢の外にある精巣は、陰嚢内より2~3℃高い温度にさらされると考えられており、その状態が続くと、将来精子を作る細胞の働きが徐々に低下することが知られています。そのため、適切な時期に精巣を陰嚢内に固定する治療が必要になります。
また、停留精巣は、正常な位置にある精巣と比べて、将来、精巣のがんが起こる可能性がやや高いといわれています。
 

症状

陰嚢の中に精巣を触れない場合、停留精巣の可能性があります。
一方でリラックスしているときなどには精巣が陰嚢内に触れるが、寒さや緊張などの刺激によって精巣が一時的に陰嚢の外へ引き上がることがあります。このように普段は陰嚢にあり、条件によって上下に動く精巣は「移動性精巣(遊走精巣)」と呼ばれ、必ずしも手術が必要になるわけではありません。
 

診断

停留精巣には、精巣の下降が途中で止まったもの(狭い意味での停留精巣)のほか、通常とは異なる場所にあるもの(異所性精巣)や、成長の過程で確認できなくなったもの(消失精巣)、生まれつき精巣が存在しない場合(精巣無形成)など、いくつかの状態が含まれます。
診察ではまず触診を行い、精巣がどこにあるか、触れるかどうかを確認します。精巣の大きさに左右差がある場合や、触っても確認できない場合には、超音波検査やMRI検査などの画像検査を行うことがあります。
 

治療

 陰嚢の外にある精巣は、時間の経過とともに機能が低下していくため、精巣を陰嚢内に固定する手術(精巣固定術)が勧められます。生後しばらくの間は、精巣が自然に下降することもあり、その多くは生後3~6か月以内に起こるとされています。このため、手術合併症などを考慮した1歳前後(出生後6か月以降)から2歳頃までに手術が推奨されています。
男性ホルモンを用いた治療法もありますが、副作用などの理由から、日本ではあまり行われていません。
手術後も、精巣が再び上に戻ることや、将来の精巣の働き、腫瘍の発生などについて注意が必要です。そのため、成長に応じた定期的な診察や長期的な経過観察が大切です。

外部リンク

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