小児外科で治療する病気

膵のう胞

膵嚢胞とは

膵臓は、膵液(強力な消化液)を分泌する「外分泌腺」と、ホルモン(主に血糖値調節)を分泌する「内分泌線」の二つの組織で成り立っています。この膵臓に、水が溜まり風船状に膨らんで出来た構造物を「膵嚢胞」といいます。
大きくは下記の3つに分類されます。
1.仮性嚢胞
2.真性嚢胞
3.充実性腫瘍の変性
以下、上記の分類に沿って説明を進めます。

1.仮性嚢胞
お子様の膵嚢胞は、ほとんどがこのタイプです。原因としては、急性膵炎の後遺症、または外傷に伴う膵臓損傷により生じます。膵炎後や膵損傷後には膵臓の組織が脆くなり、膵液が膵臓の外に漏れ出します。特に外傷による場合は、膵液の通り道である「膵管」が損傷することで多量の膵液が漏れ出ることとなります。膵液は非常に強い消化能力をもっていますので、まわりの組織を溶かしながら拡がり、その結果、嚢胞を生じることとなります。症状としては、腸を圧迫することで腸閉塞(嘔吐、腹痛)を起こしたり、嚢胞内に細菌の感染が生じ発熱、腹痛を生じたりすることがあります。また時に、周囲の血管を破壊し動脈瘤を生じることがあります。診断は、超音波検査、CT検査などの画像検査に加え、上部消化管内視鏡を使った造影検査により膵管(膵液の通り道)の損傷を評価することもあります。治療方針としては、絶食により膵液の分泌を抑え、点滴による栄養補給を行うなど、身体に極力侵襲を加えない治療が優先されます。また近年、上記の上部消化管内視鏡での造影検査を実施する際に、細いカテーテルを膵管へ挿入し膵液を腸へ誘導する治療法(膵管ステント留置術)が実施されています。カテーテルにより膵管の損傷部を保護することで、損傷部の治癒促進を目指した治療法です。これらの治療により約半数の患者さんでは6週間ほどで嚢胞の縮小がみられますが、経過をみても縮小せず腹痛や嘔吐、発熱などの症状がある場合は、嚢胞内部の膵液を外に逃がすための積極的な治療を行います。お腹に針を刺して膵液を抜く方法、または胃カメラを使って胃と嚢胞をつなぐ方法がまず検討されます。しかし症状や嚢胞の場所などにより治療が難しい場合は開腹(または腹腔鏡)手術を必要とします。手術では、嚢胞を摘出することは非常に難しく、嚢胞と胃や腸をつなぐ手術を実施します。術後は嚢胞内部の膵液が外に流出しますので、その結果嚢胞の縮小が得られます。
経過中の注意点としては、上記の動脈瘤が破裂することで大出血に至る可能性があるため、経過観察中も定期的な画像検査が必要です。
最後に、仮性膵嚢胞は、もともとのご病気や外傷から発症するため、その病状はお子様により様々です。上記の内容は一般的な内容であり、主治医からの説明を十分お聞きになり、お子様の病状と取られるべき治療方針をご理解下さい。

2.真性嚢胞
お子様では先天性嚢胞やリンパ管腫(リンパ液の溜まり)などによるものですが、非常に稀です。周囲への圧迫による症状(嘔吐、腹痛など)が生じ、超音波検査、CT、MRIなどで診断がなされます。治療としては、手術による摘出が実施される場合もありますが、仮性嚢胞と同様に胃や腸へつなぐことで縮小が得られることもあります。

3.充実性腫瘍の変性
年長のお子様では、時に膵臓腫瘍(多くは良性)を発症することがあります。多くは充実性(硬い組織)ですが、腫瘍が大きくなると内部の組織が壊れ液状に変化することで、嚢胞のように変化します。腫瘍による圧迫症状、貧血などの症状で気付かれ、超音波検査、CT、MRI検査にて診断されます。また、上部消化管内視鏡から特殊な鉗子を使って生検(組織を採取して顕微鏡検査を実施)することで診断が確定します。治療には手術を行いますが、良性であることをふまえ、腫瘍だけを切除する方法や、膵臓を部分的に切除する方法を選択し、膵臓の機能を極力温存することが重要とされています。

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