小児外科で治療する病気

消化管異物

乳幼児は好奇心旺盛で、目にはいるもの、手に触れるものすべてに興味をもって、すぐに口にいれてその感触を確かめる性質があります。そのため、1〜3歳のお子様がいろいろなものを口にいれて気道・消化管内でひっかかることがよく起こりますので、特にこの時期のお子様がおられる御家庭では、お子様の身の回りに小さなものを置かないようしてください。
万が一、異物が気道内に入った場合には、激しい咳き込み、ゼイゼイ、ヒューヒュー音や、息苦しさ、話すことができない、顔色が青くなるなど、呼吸器の症状がある場合、極めて緊急な対応が必要です。
消化管の異物では、気道の異物ほど一刻を争うことはありませんが、その異物が体のどこにあるか、何を飲み込んだかによって対応が異なります。病院を受診する際に、いつ、何を、どのくらい飲んだのか、整理しておくことをお勧めします。飲んだものと同じものがあれば、一緒に持参していただくとさらによいです。
来院されますと、問診から単純X線撮影(場合によってはCT)をおこなって異物の種類と位置を確認します。レントゲンで映らないものあっても、CT検査や、造影剤を使用することで確認できます。
必ず摘出しないといけないのは、食道の細いところや胃のなかにある
1)鋭利な異物(針、釘、鋲など)、
2)長さ5cm以上のもの(ヘアピンなど、1歳未満では3cm以上、1歳以上では3〜5cm以上のものは摘出した報告もあります)
3)ボタン電池(放電しきって古いものであると確認できないもの)、コイン
などです。(図1、2)
特に、消化管異物の重篤な合併症として、リチウム電池ではアルカリによって腐食され、誤飲から極めて短時間(30分から1時間)にでも消化管の壁に穴が開くことあります。(図3)また、磁石(玩具、磁気治療器など)を2個以上飲んで腸にまでいくと、腸の壁を挟んで磁石どうしがひっつくことで腸に穴が開くことがあり危険です。
摘出方法は、誤飲して短時間(およそ12時間以内)で、かつ鋭利でなければ、1)バルーン・カテーテル先端を異物より奥まで入れて膨らませて、引き出すことで摘出する、あるいは、2)磁力のあるものであればマグネット・カテーテルを使用して摘出します。時間が経過したものや、鋭利で消化管を損傷する可能性があるものについては、麻酔をかけて内視鏡で摘出することが安全です。(図4)

胃より先の腸にまで流れたものは、原則として経過観察となります。ほとんどがおよそ2週間以内には自然排出されてしまいますが、ときに腸に穴が開くこともありますので、異物が排泄されるまでは、腹痛、発熱などがないこと、その間に出た便の中に異物が含まれていないかを確認してください。
そのほか誤飲すると危険なものとして、タバコや、灰皿内のタバコからニコチンの溶け出した水があります。これらは飲むと中毒になる危険性がありますので、お子様が手の届くところに置かないよう注意してください。もし誤飲した時は、お近くの急患診療所に行くか、日本中毒情報センターhttp://www.j-poison-ic.or.jp/homepage.nsfの、大阪中毒110番、つくば中毒110番、タバコ誤飲事故専用電話などの電話相談窓口を利用してください。

図1 4歳児、10円玉

図2 11か月児、オセロの駒(19mm径)

図3 4歳児、リチウム電池(誤飲後4時間)

図4 2歳児、メダル(24mm径)誤飲後15日

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