急性陰嚢症は陰嚢の急激な痛みと腫れを生じる疾患の総称であり、そのうち精巣捻転症を鑑別することが重要となります.以下が急性陰嚢症をきたす代表的な疾患です。
1.精巣捻転症
急性陰嚢症の20~30%を占める精巣捻転症は精巣(睾丸)が回転したために精巣に行く血管・精管(精子を運ぶ管)が突然捻れる病気で,早急に捻れを戻さないと,精巣は壊死に陥ってしまいます.
夜間早朝に生じる急激な陰嚢の痛みが生じることが多く、吐き気・嘔吐を伴う場合があります。精巣捻転症は新生児と思春期に発症のピークがあり、新生児の場合は母体内で捻転し出生直後に精巣の腫れが見られることや,すでに壊死に陥った結果,萎縮あるいは消失していることもあります.一方で思春期では羞恥心などから受診の遅れが目立ち、精巣喪失の大きな理由となっており、精巣捻転症の症状がある場合は早急に医療機関を受診する必要があります。
診断には診察が非常に重要です。問診に加え、陰嚢の視診、精巣挙筋反射(太ももの内側を触ると精巣が無意識に持ち上がる)の確認、陰嚢および精巣の触診を行います。診断と他疾患との区別のため、尿検査や血液検査、超音波検査などを行い診断します。
精巣捻転症であれば症状が出てから6~8時間以内(ゴールデンタイム)に捻転を解除すれば精巣を温存できることが多いとされ、精巣捻転症の診断あるいは否定できない場合は早急な治療が必要となります。治療としては非観血的治療(用手的整復)と観血的治療(手術)があります。用手的整復では成功した場合はすぐに痛みは消失しますが、不完全に捻転が残存している場合があるため、捻転解除後でも手術を行うこともあります。用手的な整復が難しければ手術が必要となり、精巣捻転症であれば捻転を解除し、血流が回復すれば精巣固定術を、回復しなければ精巣摘除術を行います。精巣の温存には発症から捻転解除までに要した時間と、捻転の回転度が重要な条件があるとされています。手術の際は反対側の精巣捻転を予防するため、反対側の精巣の固定を勧められることもあります。
2.付属小体捻転症
付属小体は精巣の周囲に付着する小さな痕跡組織で精巣垂や精巣上体垂などがあります。これらは機能を有しませんが、ひとたび捻転を生じると陰嚢全体におよぶ腫れと炎症を引き起こすため、精巣捻転症との鑑別が必要となります。診察所見に加え超音波検査では精巣血流が認められるため、精巣捻転症とは区別されます。付属小体捻転症であれば、鎮痛薬の投与、安静などの治療を行い、痛みが続く場合は付属小体を摘除する手術を行います。
3.精巣上体炎
精巣上体は精巣の上部から後部に付着する精子を成熟・貯蔵し精管へ送り出すための生殖器官で、精巣上体に細菌が感染して炎症が起こる状態が精巣上体炎です。発症は緩徐で発熱を伴い、尿検査で膿尿となることが典型的です。抗菌薬によって治療を行いますが、繰り返す場合には尿の通り道に異常がないか検索を行う場合があります。
小児外科で治療する病気










