概要
肛門は食べた物が消化管を通って体の外に出る最後の部分で、便を外に出すという大切なはたらきをもっています。鎖肛(直腸肛門奇形)とはこの肛門が生まれつきうまく作られなかった病気で、おしりに肛門が開いていないもの(図1)から、小さな穴(瘻孔)がみられるもの(図2)や、肛門の位置がずれているものまでさまざまです。男児では直腸と膀胱や尿道との間、女児では直腸と子宮や膣との間につながり(瘻孔)が生じることがあります。
出生した赤ちゃんの数千人に1人の割合で発生し、消化管の先天的異常の中で最も多い病気です。
症状
出生前に診断されることもありますが、多くは生まれた直後に診断されます。おしりを診ただけでわかることもあり、直腸に体温計が入らない、哺乳を始めてしばらく経っても便が出ないことなどから気づかれることもあります。体の表面に瘻孔のあるときはそこから少量の排便がみられることもあります。男児では尿に便やガスが混じることがあり、また女児では膣から便が出たり、子宮や膣に尿が貯まっておなかが腫れたりすることもあります。幼児、学童になってからしつこい便秘などによって肛門の位置の異常に気づかれることもあります。
診断
病型によって治療方針が大きく異なりますので、速やかに病型診断をします。直腸の末端から肛門部皮膚までの距離が近い順に、低位型,中間位型、高位型の大きく3型に分けられます。また、瘻孔の有無とその部位による分類もあります。
治療
本来の位置に肛門をつくる手術が必要です。
低位型では,新生児期または乳児期に肛門をつくる手術を行います。女児の肛門膣前庭瘻などでは瘻孔の拡張(ブジー)とグリセリン浣腸を行いながら成長を待った後に手術を行います。
中間位型と高位型ではまず新生児期に人工肛門をつくります。おなかの皮膚に腸をつなぐことで便を出すことができ、母乳やミルクも飲めるようになります。そして赤ちゃんがある程度成長して直腸や肛門の機能を担う筋肉が発達してから、肛門を作る根治手術をします。病型などによりそれぞれ適切な手術術式や時期が選ばれます。根治手術を行い、肛門のきずが落ちついた後に人工肛門を閉鎖し、肛門から便が出るようになります。
肛門をつくる手術をおこなった後も、鎖肛のお子さんでは長期に渡って便が出にくい(便秘)、便がもれる(便失禁)などの症状に悩まされることがあり、生活習慣やお薬、浣腸などによるサポートが必要なことも多くあります。成長とともに快適な学校生活や社会生活を送れるようになることを目指して、ご本人、ご家族と、主治医、医療者が緊密に連携して対応していくことが重要となります。

図1 高位鎖肛(男児直腸尿道瘻)

図2 低位鎖肛(男児肛門皮膚瘻)











