小児外科で治療する病気

横紋筋肉腫

概念
  いろんな部位の横紋筋のあるいは横紋筋に姿を変えたその他の組織から発生する腫瘍で,症状は発生部位により様々です.目の周りにできると眼球が飛び出てきたり瞼が下がったり,瞼が腫れたりします.耳の奧なら耳から出血したり顔の表情がおかしい(右と左で違ってくる等),あるいは耳の穴からポリープが出てきたりします.鼻の奥にできると,飲込みがしにくくなり,咬んだときに痛みが出たりします.首にできると,腫れたりしこりを触れたり痛みがあったり,腕がしびれたり動きにくくなったりします.前立腺や膀胱にできるとおしっこが出にくくなったりおしっこに血が混じったりします(図1).女の子で腟や子宮にできると,おりものに血が混じったり,ブドウのような肉のしこりが出てきたりします.男の子で陰嚢や足の付け根にできると塊りを触れたりします.またお尻や腕や脚にできると,しこりや痛みが出たりします.

年齢分布
5歳以下と15歳前後で多く見られます.

発生頻度
 私たちが行っている小児悪性腫瘍登録では,日本で毎年30例くらいの登録があります.

分類
 顕微鏡の検査で細かく種類が分かれており,胎児型,ブドウ肉腫型,紡錘細胞型,胞巣型,多形型に分けられます.このうち胎児型横紋筋肉腫が小児期に最も多く,手足を除いた身体のどこにでもできます.治療に反応しやすく比較的治りやすいものであると考えられています.一方思春期以降に多い胞巣型横紋筋肉腫は,体幹や手足にできて最も治療に反応しにくいものと考えられています.

治療
 治療は,小さなものならまず手術による切除が行われ,化学療法,放射線療法を組み合わせた治療を行います.しかし大きいあるいは手術が難しい場所にある場合は,まず手術的に少し腫瘍を摘出し,どんな種類か(組織分類)を確かめ,化学療法と放射線療法を組みあわせ,さらに小さくなったら手術による切除が行われます.かたまりが消えてしまっても,それまでの治療効果を確かめ,続いてどうするかを決めるために手術で切除することもあります.このように様々な治療法が組みあわせられて治療を行うのですが,まだまだ十分とはいえません.

治療の現状
 日本横紋筋肉腫研究グループ(JRSG)が設立され,多施設共同臨床試験が開始されたことで生存率は上昇してきています.しかし,横紋筋肉腫の治療5年後に生存している確率(5年生存率)は全体で72%,離れた部位に転移がある症例(Stage 4)では40%といまだ不良で,更なる改善が望まれます.

図1 前立腺より発生した横紋筋肉腫

外部リンク