小児外科で治療する病気

肝腫瘍

概念 
 子どもの肝臓に発生する悪性腫瘍(がん)のうち,最も頻度の高いものが「肝芽腫」と呼ばれる病気です.肝芽腫に対しては,以前は手術が唯一の治療法でしたが,20年前くらいから化学療法(抗がん剤治療)が良く効くことが分かって来ました.その結果,手術が不可能な大きな腫瘍でも化学療法の助けで手術が可能になり,治癒できるお子さんが増えて来ました.

発生頻度
 日本小児外科学会悪性腫瘍委員会の報告では,年間におよそ30~40人程度とさされています.出生した子どもの数万人に1人の割合で病気が発生することになります.

診断
 年長児にも発生しますが,大部分は幼稚園児以下の小さいお子さん(あるいは赤ちゃん)に発生します.お腹に固い「しこり」が触れたら,医療機関を受診してください. 超音波検査 などの画像検査で肝臓に腫瘍が確認され,血液検査でAFPと呼ばれる特殊な蛋白質が増えていれば,診断は肝芽腫でほぼ間違いありません(図1).

治療
 化学療法と手術の組み合わせが治療の基本となります.手術だけで肝芽腫を治そうとする考え方は,あまり一般的ではなくなってきました.発見された時点で,腫瘍が大きすぎて手術が出来なかったり,すでに肺などに転移している時は,化学療法を先行した治療を行うことが多いです.したがって,全体として最低でも半年程度の治療が必要になります.

治療の現状
 化学療法と手術の組み合わせで生存率は改善してきています。日本小児外科学会悪性腫瘍委員会の報告では,治療5年後に生存している確率(5年生存率)は、腫瘍が肝臓内に留まっていれば89%、肝臓の外の臓器に遠隔転移がある場合には59%と報告されています。また腫瘍が大きく手術が難しいと判断されたお子さんでは、肝臓移植という治療の選択肢も出てきています。

図1 肝芽腫症例の腹部とCT所見

外部リンク