小児外科で治療する病気

潰瘍性大腸炎

 潰瘍性大腸炎は、大腸の炎症や潰瘍が良くなったり悪くなったりを繰り返し、何年にもわたって続く病気です。病変が小腸や大腸などの口から肛門までの消化管にあるクローン病とともに炎症性腸疾患と言われる難病です。この病気は、今までは欧米諸国の青年期以降に多い病気とされてきましたが、最近は日本でも増加しており、また15歳以下の年少例も増加しています。炎症がおさまっていないと、10年経過後約2-3%の確率で、大腸のあちこち(直腸が多い)に癌が発生することもあります。
病気の原因は不明ですが、遺伝性な素因に、食べ物や腸の細菌などに対する消化管の免疫異常が加わって発病してくるものと考えられています。潰瘍性大腸炎では、直腸の炎症(むくみ、ただれ)から始まり潰瘍(粘膜の掘れ込み)をつくるようになり、次第に連続性に口側に広がって時には大腸全部に潰瘍ができることもあります。
病変の範囲により直腸炎型、左側結腸炎型、全大腸炎型の三つの型に分類されています。潰瘍性大腸炎の潰瘍は初期には粘膜のみの浅いものですが、潰瘍が深く進展すると炎症のため腸の壁は硬くなり、狭くなる(狭窄)こともあります。また、 重症になると腸が巨大に膨らんだり、穴があいたり、大量の出血を認めるようになります。
症状としては、腹痛や下痢、血便(便に粘液と血液が混じりあったような粘血便)などの消化器症状のほか、貧血、発熱、食欲不振、関節炎、皮膚病変、体重減少、など全身性の異常がみられることもあります。
診断は、採血やX線レントゲン検査などの一般検査のほかに、上部・下部内視鏡検査や、小腸内視鏡(カプセル内視鏡、バルーン内視鏡)、消化管造影、超音波検査、CT検査、MRI検査などを行い、鑑別診断だけでなく病気の広がりや重症度を評価します。お子さんが検査を受けられる場合には、年齢や体重などの制限で大人と同様には行えない検査もあります。鎮静や全身麻酔を必要とすることもありますので、担当の先生とご相談ください(図1)。

図1 大腸内視鏡像(潰瘍性大腸炎の炎症が連続している)

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