小児外科で治療する病気

耳前瘻孔

概要

 耳の前に生まれつきできる小さな穴(瘻孔)です.胎生期に耳のもとになる組織(鰓弓)がうまく癒合しなかったことが原因で,日本人の約3〜5%にみられます.穴の奥には1〜2 cm程度の管(瘻管)があり,タコ足状に枝分かれしていることもあります.穴があるだけで症状がなければ治療の必要はありません.
 

症状

 穴から細菌が入り感染を起こすと,周囲の発赤・腫脹・疼痛や膿の排出がみられます(図).感染は乳幼児から成人までどの年齢でも起こりえます.一度感染すると繰り返しやすいことが知られています.
 

治療

 感染時はまず抗菌薬(ペニシリン系やセフェム系)の投与で炎症を抑え,膿がたまった場合は切開排膿を行います.炎症が十分に治まってから(通常1カ月以上後),全身麻酔下に瘻管をすべて摘出する手術(瘻管摘出術)を行います.未感染であれば原則経過観察ですが,感染を繰り返す場合は手術が勧められます.
 

手術の注意点

 手術では色素を瘻管内に注入して走行を確認し,瘻管を一塊として完全に摘出します.瘻管が軟骨に付着している場合は軟骨の一部も含めて切除します.取り残すと再発の原因になるため完全摘出が重要です.感染を繰り返した例では周囲の瘢痕が強く手術の難度が上がるため,早めの手術が望ましいとされています.瘻孔の位置によっては皮膚が薄く軟骨を貫いているため,術後に創が開いたり感染を起こしたりすることがあります.
 

外部リンク

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