小児外科で治療する病気

肺分画症

概要

肺分画症とは、小児に生まれつきみられる嚢胞性肺疾患のうちの一部で、正常の気道(気管支)とは交通を持たず、通常の肺動脈ではなく大動脈などの体循環系から血液供給を受ける異常な肺組織を指します。肺分画症は、その形態から大きく二つに分けられ、正常の肺と同じ膜(胸膜)につつまれるものを肺葉内肺分画症、正常の肺とは別の胸膜に覆われるものを肺葉外肺分画症といいます。これらに加えて、肺組織が食道や胃などの消化管と交通をもつ気管支肺前腸奇形(bronchopulmonary foregut malformation:BPFM)は、肺分画症と発生学的に近縁の疾患として関連づけて扱われることがあります。発生の過程で形成される疾患であり、悪性の病気ではありません。
 

症状

肺葉内肺分画症では、分画された肺組織が感染を起こしやすいため、発熱、咳、喀痰、呼吸困難などの肺炎症状を呈することが多く、まれに異常血管からの血流負荷により心不全や肺出血(喀血、血胸)を来すことがあります。一方、肺葉外肺分画症では分画肺に換気がないため感染を起こしにくく、無症状のまま経過することが多いとされていますが、まれに分画肺がねじれる(捻転する)ことで、胸痛や腹痛などの急性症状を呈することがあります。
 多くの場合は出生後に十分な検査を行ったうえで適切に治療すれば大きな問題はありませんが、分画肺が大きい場合や異常血管からの血流が多い場合には、胎児期あるいは出生後早期から胸水の貯留や心臓への負担が生じ、心不全を来すことがあります。このような場合には、胎児期から専門施設での厳重な管理が必要となり、状況によっては胎児治療や出生後早期の治療が行われることがあります。
 

診断

近年では、出生前の胎児超音波検査によって肺分画症が疑われることがあります。肺分画症の診断で最も重要なのは、大動脈などの体循環系から分画肺へ流入する異常動脈を確認することです。胎児期には超音波検査を基本とし、病変の位置や性状をより詳しく評価する目的で、補助的に胎児MRIが行われることがあります。出生後には胸部X線検査が行われ、肺葉内肺分画症では側副換気により含気を伴う陰影として認められることがある一方、肺葉外肺分画症では含気のない腫瘤状の陰影として描出されることが一般的です。異常血管の詳細な評価には造影CT検査が有用で、異常動脈の走行に加えて、静脈が戻る経路や病変の位置、大きさ、広がりを総合的に把握することが可能です。かつては血管造影検査が行われることがありましたが、現在ではCT検査の発達により、より侵襲の少ない方法で診断が可能となっています。
 

治療

肺分画症の根本的な治療は外科的切除です。肺葉内肺分画症では、病変を含む肺葉を切除する肺葉切除が標準的ですが、近年では病変の範囲に応じて、切除範囲をできるだけ小さくする区域切除が選択されることもあります。一方、肺葉外肺分画症では、正常肺とは独立して存在する分画肺のみを切除します。
肺炎を合併している場合には、まず抗菌薬による治療で感染を十分にコントロールしたうえで、状態が安定してから手術を行うのが一般的です。

外部リンク

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