日本小児外科学会雑誌
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59 巻, 5 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
おしらせ
挨拶
秋季シンポジウム記録
原著
  • 町野 翔, 佐野 信行, 神山 隆道
    2023 年 59 巻 5 号 p. 862-867
    発行日: 2023/08/20
    公開日: 2023/08/20
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】乳児鼠径ヘルニア(以下,本症)は嵌頓率が高く早期手術が望ましいが,手術合併症の懸念もあり早産低出生体重児における至適手術時期の明確な推奨はない.当院では原則的にNICU退院直前に,2,500 g程度までの体重増加を得てから修復術を施行している.今回我々は当院でのNICU退院前の修復術の安全性と妥当性について検討した.

    【方法】2009年4月から2022年10月までに当院でNICU入院中に診断,修復した本症21例をNICU群,外来で診断し生後2か月までに修復した32例を対照群としてそれぞれの手術時間,麻酔時間,再発・異時性対側発症の有無等を診療録から得,比較検討した.

    【結果】NICU群21例のうち,男児が15例(71%),両側例は10例であった.平均出生体重は1,330 g,手術時体重は2,860 gであった.平均手術時間は,NICU群では片側,両側,全体でそれぞれ18.0/38.8/27.9分,対照群では17.7/35.4/21.6分であり,全ての項目において双方に有意差を認めなかった(p=0.750,0.432,0.051).一方,NICU群の麻酔時間および術後在院日数はそれぞれ80.9分,13日で対照群と比べ有意に長かった(p=0.017,p<0.01).術後合併症はNICU群の術後一過性低酸素血症1例のみであった.NICU群は術後観察期間中央値42か月中再発を認めず,術後対側発症はNICU群1例,対照群4例に認めた.

    【結論】早産低出生体重児の本症におけるNICU退院前の修復術は,新生児科との連携の上で適切な術後管理を行うことで,安全かつ確実に施行可能である.

症例報告
  • 縫 明大, 橋本 さつき, 横山 新一郎, 西堀 重樹, 浜田 弘巳
    2023 年 59 巻 5 号 p. 868-871
    発行日: 2023/08/20
    公開日: 2023/08/20
    ジャーナル オープンアクセス

    高吸水性樹脂素材製品による誤飲は一般的な消化管異物とは症状経過を異にすることがあり,その報告例も近年散見される.症例は15歳11か月女児,精神運動発達遅滞にて経過観察中,12日前より嘔吐症状が出現し,徐々に増悪,画像検査で小腸内異物による腸閉塞と診断され,緊急開腹術にて小腸異物を摘出された.異物の通常の形態は摘出時の半分ほどのサイズだった玩具であり,消化管内溶液を吸水して増大し,小腸内で不動となり腸閉塞を引き起こしていた.高吸水性樹脂素材は腸内でより膨張しやすい特徴があり,誤飲した場合に有害事象を引き起こすボタン電池や複数個の磁石に加え,新しいタイプの異物と位置づけることができ,留意が必要であると思われる.

  • 菅沼 理江, 渡井 有, 佐藤 英章, 菊池 信行, 咲間 裕之, 小笹 浩二, 西 大介, キシュ ボルバーラ, 松井 青史, 角田 幸雄
    2023 年 59 巻 5 号 p. 872-877
    発行日: 2023/08/20
    公開日: 2023/08/20
    ジャーナル オープンアクセス

    小児における陰囊内脂肪芽腫は稀であり,悪性疾患も含め陰囊内腫瘍の鑑別を要する.我々は小児陰囊内脂肪芽腫の1例を経験したので,外科的治療戦略について報告する.症例は7歳男児.1か月前からの無痛性陰囊腫瘤を主訴に受診.左陰囊内に3.0×1.5×2.0 cm大の卵形状腫瘤を正常精巣の頭側に触知した.超音波検査では左精巣頭側に表面に一部血流を伴う内部やや不均一な高エコー腫瘤を認めた.MRIではT1強調像で高信号と低信号が混在し,T2強調像で高信号の腫瘤性病変を認め,陰囊内脂肪芽腫と診断した.胸部単純X線と腹部CTでは遠隔転移を疑う所見は認めなかった.以上より,左陰囊内脂肪芽腫の術前診断で,経陰囊的腫瘍摘出術を施行した.手術所見は精索部に境界明瞭な被膜を有する黄色腫瘤を認め,輸精管と精巣動静脈への浸潤は認めなかった.精巣と精巣上体を温存し,腫瘍摘出術を施行した.病理組織診断は脂肪芽腫であった.術後2年を経過し,再発は認めない.

  • 山口 修輝, 福原 雅弘, 伊崎 智子
    2023 年 59 巻 5 号 p. 878-884
    発行日: 2023/08/20
    公開日: 2023/08/20
    ジャーナル オープンアクセス

    症例は日齢2の女児.出生後から非胆汁性嘔吐の経時的増悪を認め,当院へ紹介となった.腹部単純X線写真にて広範なfree airを認め,また腹部超音波検査にて混濁した腹水と右下腹部にtarget signを認めたため,腸重積症による消化管穿孔を疑った.緊急手術を施行したところ,内翻したメッケル憩室およびその口側回腸に穿孔部位を認めた.穿孔部・内翻部を含む回腸を部分切除し,一期的に端々吻合を行った.術後は順調に経過し日齢17に自宅退院となった.切除部位には,病理学的に異所性胃粘膜や潰瘍形成は認めなかった.本病態の発生機序としては,内翻したメッケル憩室により小腸狭窄を生じ,経口摂取によって腸管内圧が上昇したことで,口側回腸に穿孔を生じたと考えられた.穿孔部位を含め,周囲の腸管にも壊死所見は認めなかったことから,一期的吻合が可能であった.

  • 梅山 知成, 高橋 信博, 工藤 裕実, 金森 洋樹, 加藤 源俊, 山田 洋平, 小林 久人, 上野 彰久, 江本 桂, 黒田 達夫
    2023 年 59 巻 5 号 p. 885-891
    発行日: 2023/08/20
    公開日: 2023/08/20
    ジャーナル オープンアクセス

    灌流域が異なる2本の異常動脈を有した肺葉内肺分画症の1例を経験した.2本の異常動脈は共に胸部下行大動脈から分画肺へ分枝していたが,病理組織学的に肺内での走行や分布が異なり,下肺静脈,半奇静脈へとそれぞれ還流していて,発生学的に異なる起源があると想定された.異常動脈や還流静脈を複数本有する肺分画症について本邦報告を調査し,肺芽や気管支動脈の発生,肺分画症の病因論についての学説から本症例の発生機序について考察したところ,2本の異常動脈は,副肺芽に由来する肺動脈と気管支動脈からそれぞれ発生したと推察された.

  • 髙野 祥一, 木下 義晶, 小林 隆, 髙橋 良彰, 荒井 勇樹, 大山 俊之, 横田 直樹, 菅井 佑, 細貝 亮介, 近藤 修平
    2023 年 59 巻 5 号 p. 892-898
    発行日: 2023/08/20
    公開日: 2023/08/20
    ジャーナル オープンアクセス

    小児副腎皮質癌は稀な悪性腫瘍である.今回我々は急性腹症で発症し,男性化徴候を契機に診断に至った小児副腎皮質癌の1例を経験したので報告する.症例は7歳女児.発熱と右上腹部痛を主訴に近医を受診し,腹部造影CTで右後腹膜に最大径11 cmの腫瘤を認め当科紹介入院となった.右上腹部に圧痛と右季肋下に弾性硬の腫瘤を触知し,思春期男性様の体臭,顔面のざ瘡,陰核肥大の男性化徴候を認めた.副腎皮質癌を疑い血液内分泌検査を実施したところ血中DHEA-S 24,680 ng/mlと著明高値を認めた.右副腎腫瘍に対し右副腎腫瘍摘出術を施行し,病理診断で副腎皮質癌と診断された.術後はミトタンを含む化学療法を施行した.現在術後1年4か月経過し再発なく経過観察中である.副腎皮質癌は機能性腫瘍であることが多い.男性化徴候のような特徴的な症候を呈する小児の後腹膜腫瘍では本症を念頭に診断,治療を行う必要がある.

  • 福永 奈津, 杉山 彰英, 川野 晋也, 田中 拡, 八木 勇磨, 安藤 晋介, 林 武雅, 吉澤 穣治, 渡井 有
    2023 年 59 巻 5 号 p. 899-904
    発行日: 2023/08/20
    公開日: 2023/08/20
    ジャーナル オープンアクセス

    幼児期に発症した先天性十二指腸膜様狭窄症に対し内視鏡的治療を行ったため報告する.症例は3歳,女児.頻回の嘔吐を主訴に来院した.血液検査と造影CT検査より急性膵炎や十二指腸腫瘤が疑われ,精査目的に緊急入院した.上部消化管造影検査で十二指腸球部の拡張と肛門側への造影剤の流出不良を認め,腸閉塞を疑い緊急手術をした.開腹所見ではTreitz靭帯の形成がなくLadd靭帯が壁外性に十二指腸を圧迫していた.腸回転異常症と診断し,Ladd手術を行った.術後の上部消化管造影検査で十二指腸球部に造影剤が停滞し,十二指腸の壁が二重に造影される部位を認めた.先天性十二指腸膜様狭窄症を疑い,上部消化管内視鏡検査を施行した.Vater乳頭の肛門側にwind sock型の膜様狭窄を認め,フラッシュナイフ(富士フィルム)で膜を弧状に削り取るように切除した.内視鏡治療後7日目に退院し,2年半嘔吐なく経過している.

  • 上松 由昌, 高安 肇, 田中 潔, 田島 弘, 渡部 靖郎, 小川 祥子, 池之内 周, 奥田 雄介, 石倉 健司, 隈元 雄介
    2023 年 59 巻 5 号 p. 905-911
    発行日: 2023/08/20
    公開日: 2023/08/20
    ジャーナル オープンアクセス

    8歳,男児.溶血性尿毒症症候群に対し輸液・輸血療法を施行した.発症13日後に食事を開始したが,発症19日後に腹痛,嘔吐を認めた.血液検査でビリルビン,肝逸脱酵素の上昇と,超音波検査で胆泥の貯留を認めた.胆泥による疝痛発作と診断し,禁食,利胆剤を開始した.その後,3週間で3度発作を繰り返し,保存的加療の継続は困難と判断し手術を予定した.待機中に発熱,右季肋部痛,嘔吐を認め,血液検査で白血球増多,CT検査で胆囊壁肥厚を認めた.急性胆囊炎と診断し,同日胆囊摘出術を施行した.胆囊内部には多量の粘調な胆泥がみられたが,結石は認めなかった.術後経過は良好で,手術5日後(発症47日後)に退院した.溶血性尿毒症症候群後の胆泥貯留は一過性の病態で保存的加療にて軽快することもあり,胆囊摘出術が施行されることは稀である.しかし,長期の保存的加療は病悩期間延長や手術時の癒着などを来すことから,早期の外科的治療が望まれる.

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